小江戸川越 のれん会
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4代目おかみ
佐久間ゆかりさん
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こだわり事典 「老舗・名店」本物一筋
本物一筋 ●佐久間 ●関口人形 ●桔梗屋 ●幸すし
住人十色 ●粕谷さん ●大野さん
割烹・旅館  佐久間
―佐久間さんの歴史、プロフィールについてお尋ねします。
 川越に来たのは明治10年代のことです。それまでは東京の浅草で「佐久間軒」という乗り合い馬車屋を営んでいました。やがて電車が走るようになり東京市内の乗物事情が変わってきました。お世話になっていた渋沢栄一先生から「馬車屋を続けるなら川越がいい」と言われて来たと聞いています。ですから最初は馬車屋です。当時、川越から日本橋まで馬車で8時間ぐらいかかったようですね。そのころは道も悪くて夜道など暗くて走れません。どうしても遠方のお客様には旅籠が必要となりました。明治26年の川越大火の焼け跡であった現在地で旅人宿を始めたようです。

―著名な方もお泊まりになっていますね。
 
いろいろな方々にお泊まりいただいています。古い記録を見ますと、明治36年には尾崎紅葉先生がお泊まりになっています。それと皇族の宮様方にもお泊まりいただいたり、高名な政治家や軍人さんも大勢さんがお泊まりになっています。島崎藤村先生は6回ほどお泊まりになっています。国の登録文化財となっている奥の部屋で、いつも着物と白足袋をきちんと身につけて机に向かって執筆されていたようですね。あの有名な「夜明け前」の最後のところは、私どもの部屋でお書きになったと聞いています。それと将棋の名人戦が行われています。当時の中原名人と桐山八段の対局で、4日間にわたって全館貸し切りとなりました。気疲れが大変だったようです。
佐久間旅館に泊まった島崎藤村(写真中央)→
経営方針は
    ―声なくして人を呼ぶ―



↑国の登録文化財になっている「奥の間」
―商いで、こだわっていることは何でしょうか。
 
私どもの奥の間には「声なくして人を呼ぶ」という意味の扁額があります。これは美辞麗句、つまり、きれいごとばかり並べて広告宣伝をしてお客様を呼ぶことよりも、実際にお食事で利用していただいたり、お泊まりになったお客様を大切にして誠心誠意おもてなしすることが大事であるということですね。これが佐久間の基本的な営業方針であり、こだわりとなっています。ですから、お泊まりでなく宴会やお食事などでご利用いただくお客様にも、いかに満足していただけるか常に真剣に考えて取り組んでいます。お料理はいつでも旬の素材を吟味して、おいしくお出しすることを第一としています。そして小江戸川越の情緒と美味を満喫していただき、素晴らしい思い出をつくっていただきたいと願っています。
―川越の魅力とは何か。そして観光都市としての川越の課題とはどんなことでしょうか。
  まず川越の魅力ということですが、川越は歴史と文化の城下町です。伝統の町並みをはじめ神社仏閣や祭り、そして住んでる人びとの情や匠の技など、その一つひとつの素晴らしさは京都、鎌倉と比べてみても優るとも劣るものではありません。日本だけでなく世界に誇れるものだと思います。市内全域を見直して掘り起こせばまだまだ観光資源はたくさんあると思います。最近は川越でも、だいぶ観光は大切ということが理解され良くなってきています。しかしながら、マチにあまりお金が落ちているという実感が薄いのではないでしょうか。観光は商業だけではありません。取り組みかた次第では工業も農業も、サービス業も含めた総合的な産業です。経済効果を高める見直しと工夫が必要だと思います。たとえば、川越は蔵造りの町並みをキャッチフレーズにしています。しかしどの蔵も建造以来100年以上も経過しているわけで心配ですね。次の時代へ伝えていくためには修理をする職人の後継者育成問題があります。制度的にも具体的に考え、手を打っていかないと、やがて限界ということになりかねません。ともあれ、小江戸川越がますます繁栄していくことを考えたいですね。
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